この連載について

部品箱の引き出しに、何気なく転がっている小さな黒い部品。

そういう部品を 1種類ずつ取り出して、データシートを最初から最後まで読んで、実際に回路を組んで、オシロスコープを当てる。 それだけをやる連載が 「IC実験室」 です。

「使い方」を調べるだけなら検索すれば5分で終わります。この連載でやりたいのはそこではなく、「データシートに書いてある数字が、目の前の回路でどう現れるか」 を毎回1つの部品で確かめることです。数字と現物が一致した瞬間の気持ちよさは、部品の値段とは関係ありません。

毎回やっていること

flowchart LR A["① データシートを
最初から最後まで読む"] --> B["② 図解する
ピン配置・内部構造・定格"] B --> C["③ 回路を組む
ブレッドボード/KiCad"] C --> D["④ 実測する
テスター・オシロスコープ"] D --> E["⑤ 数字を突き合わせる
規格値 vs 実測値"]
📌 この連載の3つの約束
  • 一次情報にあたる。 メーカーのデータシートを実際にダウンロードして読みます。「ネットで見た値」は使いません
  • 手を動かした結果だけを書く。 計算した設計値と、実際に測った値は、必ず分けて書きます
  • うまくいかなかったことも書く。 規格から外れた・思ったとおりに動かなかった、はそのまま記録します

📚 収録記事一覧

# 部品 種別 この回で学べること
#1 MCP23017 I/Oエキスパンダ I2Cでピンを16本増やす。レジスタの読み書きと、自己診断テストによる配線検証
#2 KXR94-2050 3軸加速度センサ 重力ベクトルを3軸に分解して角度に変換する。アナログ出力の読み方と水平器の作り方
#3 74HC595 シフトレジスタ 3本のピンで8個以上の出力を作る。シフト・ラッチの動作原理とカスケード接続
#4 NE555N タイマーIC 抵抗とコンデンサだけで時間を作る。無安定マルチバイブレータの動作原理
#5 2SC1815 NPNトランジスタ 1個の石でスイッチ・増幅・発振を全部やる。強制hFEによるベース抵抗設計、ターンON/OFFの非対称、2石発振、エミッタ接地増幅の利得152倍まで実測
🗓️ #1〜#4 は連載開始前に書いた記事です

「IC実験室」という名前を付けたのは #5 からですが、やっていたことは最初から同じでした。1つの部品を掘り下げてデータシートと実機を突き合わせる、という記事が積み上がってきたので、連載としてまとめ直しています。

読む順番は自由です。それぞれの回は独立して読めます。

どの回から読むか迷ったら

こんな人 おすすめの回
トランジスタを触ったことがない #5 2SC1815(NPNの基本動作から解説しています)
マイコンのピンが足りなくて困っている #1 MCP23017 または #3 74HC595
マイコンを使わずに回路を動かしてみたい #4 NE555N#5 2SC1815
センサの生の出力をどう扱うか知りたい #2 KXR94-2050
データシートの読み方そのものを知りたい #5 2SC1815(同じ型名でメーカーごとに規格が違う話をしています)

🔭 次の石は?

次に扱う部品は決めていません。

これは手抜きではなく、この連載の設計です。「入門者向けに体系立てた12回」のようなカリキュラムにすると、面白い部品が引き出しに入ってきたときに扱えなくなります。

実際に選んでいる基準は、だいたい次のどれかです。

  • 使ってみたら想像と違った部品 — 規格表の数字と実際の挙動にギャップがあったもの
  • 定番すぎて逆に誰も掘っていない部品 — 「使い方」の記事は山ほどあるのに、データシートを最後まで読んだ記事が無いもの
  • 手元の実験環境で「見える」部品 — オシロスコープやテスターで、動作原理が波形として観測できるもの
  • 国内で普通に買える部品 — 読者が同じものを手に入れて追試できることを優先します

つまり、終わりのない連載です。引き出しの中身が尽きるまで続きます。

💡 扱ってほしい部品のリクエスト

「この石を掘ってほしい」という要望があれば歓迎します。手に入りやすくて、動作が測定器で見える部品だと記事にしやすいです。


🛠️ 使っている機材

毎回そろえ直す必要はありません。多くの回はテスターとブレッドボードだけでも追えます。

機材 用途 必須度
ブレッドボード+ジャンパ線 全回で使用 ★★★ 必須
デジタルテスター 電圧・電流・抵抗の実測。hFEレンジ付きだとさらに便利 ★★★ 必須
直流安定化電源 電圧を確実に決めたいときに。電池やUSB電源でも代用可 ★★☆ あると安心
デジタルオシロスコープ 波形の観測。「見えなかったものが見える」のはだいたいこれのおかげ ★★☆ あると一気に楽しくなる
KiCad 回路図の作図(無料) ★☆☆ 記事側で使用

部品はほとんどが秋月電子通商で買えるものを選んでいます。1パック数百円で済むことがほとんどなので、記事を読みながら同じものを手元で試せます。


この連載の読み方

各記事は、おおむね次の順番で進みます。

  1. その部品は何者か — 素性、生い立ち、なぜ定番になったか
  2. データシートを読む — ピン配置・絶対最大定格・電気的特性を図解と表で
  3. 実験 — 回路図・部品定数・計算過程を全部載せます
  4. 実測 — テスターとオシロスコープで確かめ、設計値と並べて比較
  5. 使いどころと代替品 — 似た部品との違い、入手性

計算の過程は省きません。 「この抵抗は3.3kΩ」ではなく、「なぜ3.3kΩになるのか」を毎回書きます。同じ考え方が別の部品でも使えるようにするためです。


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